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東京高等裁判所 昭和55年(ネ)2792号・昭56年(ネ)2025号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

本件記録によると、控訴人兼附帯被控訴人(以下、控訴人という)は、被控訴人兼附帯控訴人ら(以下、被控訴人らという)を相手取り、横浜地方裁判所に対して、(1)地代値上等請求訴訟を提起し(同庁昭和五一年(ワ)第七六七号)、「被控訴人らは控訴人に対し、別紙物件目録第一記載の各土地に対する地代が昭和五一年五月以降一平方メートル当り月額金六一円三〇銭であることを確認し、同年同月一日以降右の割合による月額合計金六万〇、三五五円を毎月末日限り控訴人の住所に持参して支払え。訴訟費用は被控訴人らの負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求める旨を申立て(この申立の記載のある訴状を原審第一回口頭弁論期日に陳述)、次いで、(2)昭和五三年九月一二日付け請求の趣旨の拡張(訴の追加的変更)申立書により、「被控訴人らは控訴人に対し、別紙物件目録第二記載の土地に対する地代が昭和五一年五月一日以降一平方メートル当り月額一一六円であることを確認し、同年同月一日以降右の割合による月額合計金四万六、〇八六円を毎月末日限り控訴人の住所に持参して支払え。訴訟費用は被控訴人らの負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求める旨を申立てた(右申立書を原審第一一回口頭弁論期日に陳述)にもかかわらず、原審裁判所は昭和五五年一〇月二〇日上記のうち(2)の申立についてのみ判決を言渡し、(1)の申立に対する判断を逸脱していることが認められる。すなわち、原審裁判所は控訴人の請求の大半につき裁判を脱漏しているのである。そして、請求の一部についてなされた右判決に対して控訴した控訴人は、当審において原判決を取消し、本件を原審裁判所に差戻す旨の判決を求める旨を申立て、被控訴人らは右申立に異議はないと述べた。

裁判所が請求の一部についての判決を脱漏したときは、訴訟はその請求の部分につきなお裁判所に係属しており(民訴法一九五条一項)、当該裁判所は右脱漏部分につき追加判決をなすべきであるが、第一審裁判所が判決をするにあたり請求の大半を脱漏し、該部分につきなお審理をつくす必要があり、しかも、判決された一部の請求につき控訴があつて控訴審に係属中、当事者双方が請求の全部について第一審裁判所で併せて審理判断を求める場合に、そのようにするのが当該事実の適正迅速な審理判断をするのに相当であると認めるときは、原判決を取消し、事件を第一審裁判所に差戻し、同裁判所で改めて請求の全部に対し一括して審理判断させることができるものというべきである(民訴法三八九条一項参照)。これを本件についてみるに、前記認定の事実及びその他本件記録にみられる諸般の事情を総合考慮するときは、原判決を取消し、請求の一部である本件を原審の横浜地方裁判所に差戻し、同裁判所で請求のうち脱漏部分と併せ請求の全部につき審理判断させるのが相当であると認められる。

(岡垣學 手代木進 上杉晴一郎)

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